記憶障害とは?特徴と家族が知っておく対応方法

● 介護の始め方

記憶障害とは?特徴と家族が知っておく対応方法【介護主任が徹底解説】

こんにちは、介護主任のみしょです。
認知症の中核症状のひとつである「記憶障害」
家族から見ると「さっき言ったのに忘れてる」「昨日のことを全く覚えていない」など、日常の中で強い不安や戸惑いを感じることも多いですよね。

しかし、記憶障害は単なる「物忘れ」ではなく、脳の働きそのものに変化が起きている状態です。
この記事では、介護主任としての現場経験をもとに、以下の内容を詳しくお伝えします。

  • 記憶障害とは何か?
  • 物忘れとの違い
  • 進行のパターンと特徴
  • 家族ができる対応のコツ
  • 専門職との連携の重要性

「何度も同じことを聞かれてついイライラしてしまう…」
――そんな方こそ、この記事を読むことで少し心が軽くなると思います。


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記憶障害とは?

記憶障害(きおくしょうがい)とは、出来事や体験そのものを思い出せなくなる、または新しい情報を記憶できなくなる症状です。
認知症の初期段階で最も多く見られ、「さっきの食事内容」「今日の予定」「訪ねてきた人のこと」など、日常の短期記憶が失われていきます。

記憶にはいくつかの種類があります。

  • 即時記憶:聞いた直後に覚えている記憶(例:電話番号を一瞬だけ覚える)
  • 短期記憶:数分~数時間前の出来事(例:昼ご飯に何を食べたか)
  • 長期記憶:過去の体験や知識(例:子どもの頃の記憶)

認知症の記憶障害では、まず短期記憶から低下し、進行すると長期記憶にも影響が出ます。
つまり「今この瞬間に起きたことを覚えておけない」ため、本人には悪気がないのです。


物忘れとの違い

家族がよく混同してしまうのが、加齢による物忘れとの違いです。

加齢による物忘れ 認知症による記憶障害
体験は覚えているが、細かい内容を忘れる(例:昼ご飯に何を食べたか) 体験そのものを忘れてしまう(例:昼ご飯を食べたこと自体を忘れる)
ヒントを出せば思い出せる ヒントを出しても思い出せない
生活に大きな支障は少ない 日常生活に支障が出る(予定を忘れる、薬を飲み忘れるなど)

つまり、「覚えていない」というよりも、記憶する機能自体が壊れてしまっているのが記憶障害です。


記憶障害の進行と特徴

記憶障害は徐々に進行していきます。
初期は「最近の出来事を忘れる」程度でも、進むにつれて時間軸が曖昧になり、過去と現在を混同するようになります。

  • 「朝ごはんを食べた?」と何度も聞く
  • 「昨日来た娘が今日も来たと思う」
  • 「財布を盗まれた」と思い込む(実際はどこかに置き忘れ)
  • 「ここは自分の家じゃない」と混乱する

これらは本人にとって本気の“現実”です。
嘘をついているわけではなく、脳の中で事実の記録が欠けてしまっているのです。


家族ができる対応のコツ

記憶障害がある方と関わる際に、家族がまず意識しておきたいのは「訂正よりも共感」です。

  • 否定しない・訂正しすぎない
    「違うでしょ」「何度も言ってるでしょ」は本人を混乱させてしまいます。
    → 「そう思ったんだね」「じゃあ一緒に確認してみよう」と共感を優先しましょう。
  • 見える形で情報を残す
    カレンダー・メモ・ホワイトボード・スマホの写真などを活用して、
    「今日の日付」「予定」「誰が来たか」を見える形に。
  • 日課を固定する
    「朝ごはん→テレビ→散歩→昼食→昼寝」など、一定の流れを作ると安心感が生まれます。
  • 同じ質問にも穏やかに対応する
    何度も聞かれるのは不安の表れ。
    「忘れちゃってごめんね」ではなく、「大丈夫だよ」「そうだね」と安心の言葉を返しましょう。
  • 安全面の工夫
    鍵や財布、薬などは決まった場所に。ラベルや写真で“ここ”が分かるようにします。

これらの対応はすぐに完璧にできるものではありませんが、「本人の世界を否定しない」という姿勢が何より大切です。


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専門職との連携も重要

家族だけで記憶障害に対応するのはとても大変です。
そんなときは、ケアマネジャーやデイサービス・訪問介護など専門職に相談しましょう。

特にデイサービスでは、脳の活性化を促す会話・レクリエーション・回想法などが行われており、
本人が社会と関わる機会を持つことで、記憶や感情が穏やかに保たれることも多いです。

また、必要に応じて医師による治療や投薬も並行して行うことで、進行をゆるやかにする可能性があります。


介護主任として伝えたいこと

私はこれまで多くのご家族から、「何度も同じことを言われて疲れてしまう」という相談を受けてきました。
そのたびにお伝えしているのは、「本人は嘘をついているわけではない」ということです。

記憶障害は、“忘れてしまう”のではなく、“記録できない”。
そのため、「さっきも言ったでしょ」と責めるのではなく、「初めて聞いたこととして接する」ことが大切なのです。

介護は忍耐の連続ですが、理解が深まることで怒りが減り、心が穏やかになります。


まとめ

記憶障害は、認知症の中でも最も分かりやすい症状のひとつです。
しかし、適切な対応と支援によって、本人も家族も安心して日々を過ごすことができます。

  • 記憶障害=体験自体を忘れる症状
  • 否定せず、共感と安心を優先する
  • メモ・ルーティン・環境整備で支援
  • 専門職や医療と連携して無理なく支える

介護はひとりで抱え込むものではありません。
つらいときは、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、サポートを受けながら進めていきましょう。



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