認知症とは?種類・症状・中核症状とBPSDを解説【家族向け基礎知識】

● 介護の始め方

認知症とは?種類・症状・家族が最初に知っておきたい基礎知識【介護主任がわかりやすく解説】

こんにちは、介護主任のみしょです。
現場で長年ご家族の相談を受けてきた立場から、今回は「認知症を正しく理解するための基本知識」をお話しします。
ニュースやSNSで「認知症」という言葉をよく見かけるようになりましたが、実際に身近な家族が診断されると、誰もが戸惑うものです。
「どんな症状が出るの?」「どんな種類があるの?」「どう関わればいいの?」――この記事では、そんな疑問に順を追って答えていきます。


■ 認知症とは?脳の“働き”が変化する病気

認知症とは、脳の細胞が障害を受け、記憶・判断・理解などの認知機能が低下し、生活に支障が出る状態を指します。
加齢による「もの忘れ」とは異なり、「昨日食べたものを全く覚えていない」「家の場所が分からない」など、日常生活そのものに影響が出る点が特徴です。

日本では2025年には約700万人が認知症になると推計されており、65歳以上の約7人に1人という割合です。
つまり、どの家庭でも「他人事ではない」時代に入っています。

介護の現場では、「病気ではなく、その人らしさを支える関わり」が求められています。
ここからは、具体的な種類や症状を詳しく見ていきましょう。


■ 認知症の主な4つの種類と特徴

認知症と一言でいっても、実際には原因や症状が異なる複数のタイプがあります。
ここでは代表的な4つを紹介します。

種類 主な特徴 現場での関わり方のポイント
アルツハイマー型認知症 最も多い(全体の約6割)。記憶障害が初期から目立ち、徐々に理解力や判断力が低下。時間・場所・人が分からなくなる「見当識障害」も進行。 否定せず、共感して話を合わせる対応が有効。本人が安心できる環境を整えることが重要。
脳血管性認知症 脳梗塞や脳出血などの後遺症によって起こる。感情の起伏が激しくなることもあり、症状に“波”がある。 急に怒ったり落ち込んだりする場合があるが、病気によるものと理解し、穏やかな声掛けを意識する。
レビー小体型認知症 幻視(実際にないものが見える)やパーキンソン症状(手足のふるえ・動作緩慢)が特徴。注意力の変動も激しい。 否定せず、「怖かったね」と受け止める。転倒リスクが高いため、環境調整も重要。
前頭側頭型認知症 比較的若い世代にも見られ、感情のコントロールが難しくなる。暴言・多弁・同じ行動の繰り返しなどが目立つ。 性格の変化を「わがまま」と捉えず、脳の変化によるものとして受け止める姿勢が必要。

現場では、複数のタイプが混在する「混合型認知症」も増えています。
医師の診断をもとに、原因に応じたケアを行うことが大切です。

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■ 認知症の2つの症状構造:中核症状とBPSD

認知症の症状は、大きく分けて「中核症状」「BPSD(行動・心理症状)」の2つに分類されます。
この2つの違いを理解することが、家族や職員の関わり方を変える第一歩です。

中核症状(脳の障害が直接の原因)

  • 記憶障害: 新しいことを覚えられない。昨日の食事を忘れる。
  • 見当識障害: 日付・時間・場所・人が分からなくなる。
  • 判断力の低下: 買い物や金銭管理が難しくなる。
  • 失語・失行・失認: 言葉や動作、物の認識が難しくなる。

これらは脳細胞そのものの損傷によるもので、残念ながら根本的に治すことは難しいとされています。
しかし、BPSDと呼ばれる「周囲との関係で変化する症状」は、関わり次第で大きく改善します。

BPSD(行動・心理症状)

  • 徘徊(目的なく歩き回る)
  • 幻覚・妄想(「財布を盗まれた」と訴えるなど)
  • 暴言・暴力・拒否
  • うつ状態・不安・不眠

これらは、不安や孤独、環境の刺激などが引き金になることが多いです。
つまり「接し方」「環境調整」で落ち着く可能性があるのです。
介護主任として現場で大切にしているのは、“本人の訴えの裏にある気持ち”に目を向けること。
「帰る」と言うのは“安心したい”というサインかもしれません。


■ 家族が最初に知っておくべき3つのこと

① 認知症は「進行を遅らせる」ことができる

現在の医学では完治は難しいですが、早期発見・早期対応により進行を遅らせることが可能です。
生活習慣の見直しや、社会参加・脳トレなどの継続が効果的とされています。

② 本人を責めず、環境を変える

怒ったり、否定的な声掛けをすると不安が強まり、BPSDが悪化することがあります。
本人の行動を「できない」ではなく「どうすればできるか」という視点で考えることが大切です。

③ 介護保険を早めに使う

認知症の介護は、家族だけで抱え込むのは限界があります。
地域包括支援センターに相談し、要介護認定を受けることで、デイサービス・訪問介護・ショートステイなどの支援を利用できます。
「まだ早い」と思っても、まずは相談だけでもしておくのが◎です。

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■ 介護主任が伝えたい「認知症ケアの本質」

介護現場で多くの方と関わる中で感じるのは、「家族の理解が深まるほど、本人の笑顔が増える」ということ。
認知症のケアは、テクニックよりも「心の通い合い」が土台です。

たとえば、「同じ話を何度もする」ことにイライラしてしまうのは当然です。
でも、それは本人にとって「安心を求めるサイン」であり、記憶が途切れても“感情”は残ります。
だからこそ、「怒られた」「優しくされた」という気持ちは心に刻まれるのです。

介護主任として私が心がけているのは、“間違いを正すより、安心を積み重ねる”こと。
この姿勢が、家族にも職員にも求められるケアの基本だと感じます。


■ まとめ

認知症は種類や症状によって特徴が異なりますが、共通して大切なのは「理解」「受容」「環境調整」です。
本人の行動を否定するのではなく、どうすれば穏やかに過ごせるかを一緒に考える。
その積み重ねが、ご家族にも本人にも「安心」をもたらします。

そして、介護をする側が孤立しないためにも、地域包括支援センターや専門サービスを上手に活用しましょう。
一人で抱え込まないこと。それが、長く続く介護の第一歩です。

この記事が、これから認知症と向き合うご家族や職員の方の力になれば幸いです。




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