認知症の初期サイン|家族が最初に気づく“変化”とは?
こんにちは、介護歴20年・特別養護老人ホームで介護主任をしているみしょです。
この記事では、家族が最初に気づく「認知症の初期サイン」について、現場での実体験を交えながらお伝えします。
「最近、親の様子がちょっと変…」と思ったときに、どこを見れば良いのかを分かりやすくまとめました。
はじめに
家族の誰かに“いつもと違う”と感じる瞬間が訪れるのは、ある日突然です。
「同じ話を何度もしてくる」「財布をなくしたと言い張る」「料理の味が変わった」――。
その違和感を「年のせい」で済ませてしまう人は多いですが、実はそれが認知症の初期サインであることも珍しくありません。
介護主任として現場に立つ中で痛感するのは、最初に異変を見つけるのは家族の“感覚”だということです。
本人よりも、日々の変化に気づけるのはそばにいる人だけ。
そして、早く気づくほど対応策が広がり、本人の尊厳を守りながら生活を続けることができます。
サイン①:同じ話を何度も繰り返す
認知症の初期段階では、まず“短期記憶”に影響が出ます。
たとえば、朝話した内容を昼には忘れている、昨日の食事を思い出せない――。
これが進むと、本人は無意識に同じ話題を何度も繰り返すようになります。
実際、私が関わったご利用者の中にも、毎回「息子が車を買ったんだ」と嬉しそうに話す方がいました。
しかし、息子さんによるとその話は3年前のこと。
ご本人の中では“昨日の出来事”として鮮明に残っていたのです。
このように過去と現在の区別が曖昧になることが、初期サインのひとつです。
家族ができることは、否定せずに優しく受け止めること。
「その話、何回もしてるよ」と指摘するよりも、
「そうなんだね、嬉しかったんだね」と共感する方が、本人の不安を和らげます。
サイン②:時間・季節・場所の感覚がズレる
次に現れやすいのが、“見当識障害”と呼ばれる症状です。
たとえば、真夏に厚手のコートを着ようとしたり、夕方に「これから会社行く」と言い出すなど。
本人の中では時間軸がずれており、「今がいつなのか」の判断が難しくなっています。
実際、夜中に外出しようとするケースもあります。
「今からスーパー行く」と言われても、時計を見れば午前3時。
止めようとすると「なんで邪魔するの!」と怒ることもあり、家族は戸惑うでしょう。
この段階では、本人も混乱しているため、安全確保を最優先にしてください。
鍵の二重ロックやセンサーライトの設置など、環境調整が効果的です。
また、このサインが見られたら、地域包括支援センターに相談を。
医師やケアマネジャーにつながるサポート体制を案内してくれます。
サイン③:お金の扱いが変わる
金銭感覚の変化も非常に分かりやすいサインです。
財布の中身が減っても気にしない、同じ物を何度も買ってくる、あるいは高額商品の契約をしてしまうなど。
これは“判断力の低下”が背景にあります。
私の経験では、「母が新聞を5社契約していた」「知らない通販商品が届く」などの相談が多く寄せられます。
認知症の初期では、営業トークを信じ込みやすくなる傾向も。
そのため、詐欺まがいのトラブルに巻き込まれる前に、家族が一緒に確認することが大切です。
「お金のことを任せられなくなった」と感じたら、まずはキャッシュカードの管理を家族が手伝う、
「一緒に家計簿をつける」などの自然なサポートがおすすめです。
サイン④:性格や感情の変化
優しかった人が突然怒りっぽくなる。
家族を疑うような発言をする。
これも初期の認知症でよく見られる変化です。
脳の前頭葉の働きが変化し、感情のコントロールが難しくなっている状態です。
あるご利用者は、毎日ニコニコしていたのに、ある日から「誰かが私の財布を盗った!」と訴えるようになりました。
家族が「盗ってないよ」と否定しても逆効果で、さらに不安が増すばかり。
このようなときは、「そうだったんだね、探してみようか」と受け止め、安心させる声かけをしましょう。
否定ではなく共感が、本人の尊厳を守る第一歩です。
サイン⑤:身の回りの清潔や整理整頓ができなくなる
「お風呂に入りたがらない」「部屋が散らかる」「冷蔵庫に古い食品が溜まる」――。
こうした変化は、単なる怠けではなく、脳の機能低下による“行動意欲の低下”です。
面倒、怖い、恥ずかしいといった気持ちから行動できなくなることもあります。
現場でも「お風呂イヤ!」という拒否は多く見られますが、
よく話を聞くと「寒い」「滑りそうで怖い」など、明確な理由が隠れていることが多いです。
家族が「どうして入りたくないの?」と寄り添う姿勢を持つことが大切です。
家族ができる最初のステップ
「認知症かも」と感じたとき、いきなり病院へ行くのはハードルが高いですよね。
そんなときは、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。
医師の紹介、介護保険申請の手続き、今後の生活支援まで無料でサポートしてくれます。
また、早めに受診することで、薬やリハビリで進行を遅らせられるケースもあります。
「まだ様子見でいいかな」と思っているうちに進んでしまうことも多いため、早期発見=家族の安心と考えて行動しましょう。
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まとめ
認知症の初期サインは、「ちょっとした変化」から始まります。
同じ話を繰り返す、時間感覚がずれる、お金の管理が難しくなる――。
それらを早めに受け止めることで、本人も家族も穏やかな日常を続けることができます。
介護主任として感じるのは、早く気づいてくれた家族ほど後悔が少ないということ。
「まだ大丈夫」と思う前に、一度専門家へ相談してみてください。
あなたのその一歩が、家族みんなの未来を守ります。
介護は突然始まるようでいて、実は少しずつ始まっています。
今日の気づきが、明日の安心につながりますように。


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