私が介護の道に進んだ理由― 土木科出身から介護主任になるまで ―

● 介護職のリアル・転職事情

はじめに

目次

高校時代の私は、自分が将来“介護の仕事”をしているなんて、まったく想像もしていませんでした。
通っていたのは工業高校の土木科。測量や施工管理よりも、フォークリフトやローラーなど、現場で使える運転系の資格を中心に取っていました。

でも、いざ卒業が近づいたとき、ふと立ち止まったんです。
「就職…本当にしたいのかな?」と。

きっかけは、友人のひと言だった

そんなある日、仲の良い友人がふとこう言いました。
「介護の専門学校、一緒に受けてみない?」

特に深く考えず、「いいよ」と答えました。
まさかそれが、自分の人生を大きく変える分岐点になるとは、その時は思いもしませんでした。

結局、その友人は合格できず、介護の道には進みませんでした。
でも私は、偶然にも合格し、そのまま介護の世界に足を踏み入れることになったのです。

初めての現場、戸惑いと試行錯誤の日々

介護の現場は、まさに右も左も分からない状態からのスタートでした。
祖父母以外の高齢者と接したこともなく、「何を話せばいいのか?」「どこまで手を出していいのか?」
そんな小さな戸惑いの連続。

ですが、ある日、利用者さんからこんな言葉をかけてもらいました。

「あなたが来ると、ホッとするんだよ」

このひと言が、私の心に深く刺さりました。
たとえスキルがなくても、人としての関わりが誰かの安心につながる。
そのことを初めて実感した瞬間でした。

「もっと続けていきたい」そう思えた理由

そこから少しずつ、「もっとこの仕事を続けてみたい」と思えるようになりました。

もちろん、楽しいことばかりではありません。
正直、嬉しいことややりがいよりも、辛いことの方が多かったかもしれません。

認知症の方とのすれ違い、理不尽なクレーム、深夜の急変対応…。
何度も「もう無理かも」と心が折れそうになりました。
でも、仲間と支え合いながら乗り越えてきた日々が、今の自分を作ってくれました。

介護主任として思うこと

今、私は特別養護老人ホームで介護主任をしています。

主任になって改めて感じるのは、
「介護はチームで支えるものだ」ということです。

現場で頑張るスタッフ、事務所で支える職員、ご家族、そして利用者さん。
どれか一つが欠けても、介護はうまく回りません。

私は今でも、現場に入り、夜勤をすることもあります。
新人の頃の気持ちを忘れたくないですし、現場の空気を常に感じていたい。

静まり返った夜中のナースコール、誰もいない廊下の静寂、時に心細さも感じます。
でも、それも含めて“介護”なのだと思います。

偶然の選択が、今では誇りに変わった

介護の世界に入ったきっかけは、本当に偶然でした。
でも、今は心からこう思っています。

「この道を選んで、本当によかった」

最後に、これを読んでいるあなたへ

もし今この記事を読んでいて、
「介護の仕事ってどうなんだろう」
そんな風に少しでも思っているなら、私はこう伝えたいです。

「まずは、いろんな施設に見学に行ってみてください」

現場の空気を肌で感じること。
それが、自分に向いているかどうかを見極める一番の方法です。

“やってみないと分からない”世界だからこそ、最初の一歩はとても大切です。
あなたの一歩が、未来の誰かを支える力になるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました