夜勤明けの「地味に傷つく一言」
はじめに
介護の現場で働くみなさん、本当に毎日お疲れさまです。特に「夜勤」という働き方は、体力的にも精神的にも非常に負担が大きく、経験した人にしか分からない独特の疲労感があります。
ようやく朝を迎え、記録や引き継ぎを終えて「さあ帰ろう」と思ったその瞬間に、同僚や利用者さんの家族、あるいは何気ない周囲の人から放たれる“ひとこと”。
それは本人に悪気がないことも多いのですが、疲れ切った心にはグサッと刺さってしまうことがあります。これが夜勤スタッフにとっては「地味に傷つく一言」なのです。
今回は、介護職員が夜勤明けに実際に言われて心に残ったフレーズを取り上げ、その裏にあるリアルな心理や現場の事情を詳しく解説します。
1. 「え、もう帰るの? まだ○○してないよ?」
夜勤が終わり、やっと「今日の仕事は終わった」と思った瞬間に投げられる言葉。
「え、もう帰るの? まだ食事介助やってないでしょ?」
「ちょっと掃除が残ってるんだけど…」
夜勤明けのスタッフからすると、この一言は本当にきついです。夜勤は単に「夜にいるだけの仕事」ではありません。夜間の巡回、ナースコール対応、排泄や転倒のトラブル処理、体調急変の対応、記録の入力、そして朝方には離床介助や排泄介助と、次から次へと業務があります。実際には一晩中フル稼働なのです。
「帰る=やっと休める」と思った瞬間に「まだやってないでしょ?」と投げられると、達成感よりも「認めてもらえていない」という気持ちが大きくなり、心にダメージを受けてしまうのです。
2. 「夜勤って、寝てるだけでしょ?」
これは介護職員の心に最も突き刺さる言葉のひとつです。特に家族や友人など、介護の現場を知らない人から言われることが多いのではないでしょうか。
しかし現実は、「夜勤に寝ている時間は1分もない」と言っても過言ではありません。
実際の夜勤中は、ナースコールが鳴り止まない時間もあります。不穏状態の方が落ち着かず徘徊したり、転倒や急変が起きれば対応に追われます。日勤帯よりも人員が少ない中で判断を任されることも多く、むしろ緊張感は日勤以上です。
「寝てるだけ」と言われることで、必死に耐えてきた緊張や疲労が一瞬で否定されるように感じ、虚しさがこみ上げてしまうのです。
🛠 夜勤明けは“自分の時間”を守ることも大切!
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「帰ったらすぐ休める環境」をつくることで、夜勤明けの疲れを少しでも軽減できます。
3. 「日勤と交代だからラッキーだね」
「夜勤が終わったらもう休みだから得してるよね」「日勤と交代で早く帰れるんだから羨ましい」――こんな風に言われたことはありませんか?
一見ポジティブに聞こえるこの言葉も、夜勤を終えた介護スタッフには「全然ラッキーじゃない」と感じさせてしまいます。なぜなら夜勤後は眠気と疲労で体が限界を迎えているからです。生活リズムが崩れることで体調を整えるのにも時間がかかり、休日が寝るだけで終わることも珍しくありません。
「夜勤=ラッキー」という認識は、現場を知らない人の典型的な誤解。実際には「やっと終わった…」というのが正直な心境なのです。
4. 「夜勤って、日勤より楽なんでしょ?」
日勤帯は入浴やリハビリ、レクリエーション、家族対応などで慌ただしいので、「夜は静かで楽そう」と思われがちです。ですが、実際の夜勤は人員が少なく、数十人の利用者を少人数で見守らなくてはいけない責任重大な時間帯です。
特に辛いのは「孤独」と「判断の重さ」です。夜間はサポートしてくれる同僚も少なく、万一のときに一人で対応しなければならないケースも多々あります。例えば転倒事故や急変が起きた場合、救急搬送の判断を即座に下す責任がのしかかります。
こうしたプレッシャーを「楽でしょ?」の一言で軽く扱われると、「自分の頑張りが理解されていない」と感じてしまうのです。
5. 「あ、ちょっとその前に○○だけお願いしていい?」
「帰る準備をしていたのに、最後の最後で“ちょっと待って”と引き止められる」――これは夜勤明けのスタッフにとって大きなストレスです。
例えば、「この記録だけお願い」「オムツ交換を手伝って」と頼まれると、そのままズルズルと残業になってしまうこともあります。
夜勤明けは体力も気力も限界に近い状態。そんな中で追加の業務を振られると、「自分の時間を奪われた」という気持ちが強まり、疲労感が倍増します。
まとめ
夜勤明けのスタッフにかけられる何気ない一言は、発言する側にとっては軽い冗談や会話のつもりでも、受け取る側には大きな負担になることがあります。
介護職にとって夜勤は避けられない業務のひとつですが、だからこそ「ありがとう」「お疲れさま」「ゆっくり休んでね」といった気遣いの言葉が心を救います。
夜勤を担うスタッフがいるからこそ、施設全体の生活が安全に守られているのです。お互いを労い合う文化が広がることで、現場全体の雰囲気も良くなります。
そして夜勤を終えたあなたへ――今日も本当にお疲れさまでした。どうかゆっくり体を休め、また笑顔で現場に戻ってきてくださいね。


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