はじめに
「このまま家で介護を続けるべきか…」
「それとも、施設にお願いした方がいいのか…」
介護が必要になったとき、必ずといっていいほど出てくるのが“同居か施設か問題”です。
どちらが正解というものではなく、家庭の状況や本人の気持ちによって変わります。
今回は、介護主任として現場を見てきた立場から、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
「どちらが我が家に合っているのか」を考えるヒントになれば幸いです。
同居介護のメリット
- すぐそばにいる安心感
家族が近くにいるだけで、本人は安心できます。急な体調変化にもすぐ対応可能です。 - 費用が比較的抑えられる
在宅サービスを利用しても、施設利用に比べて毎月の費用は抑えやすい傾向があります。 - 生活の自由度が高い
住み慣れた自宅での生活は、本人にとっても精神的に落ち着く環境です。
同居介護のデメリット
- 介護者の負担が大きい
体力・精神面ともに負担は大きく、介護うつや共倒れにつながることも。 - 家族の生活に制限が出る
旅行や外出、仕事の選択肢が制限されることもあります。 - 介護に正解がないストレス
「これで合っているのか?」という迷いが続くケースも多く見られます。
施設利用のメリット
- 24時間体制の専門ケアが受けられる
夜間や急変時もスタッフが対応してくれる安心感があります。 - 家族の負担を軽減できる
精神的・肉体的に介護から少し距離を置くことで、関係が良好に保てる場合も多いです。 - 社会的なつながりができる
他の利用者との関わりや、レクリエーションで刺激のある生活が送れます。
施設利用のデメリット
- 費用がかかる
月10万〜20万円以上かかる施設も珍しくありません。 - 本人が“家を離れる”ことに抵抗を感じる場合も
住み慣れた場所を離れるのは、誰でも不安を感じるものです。 - 職員との相性・ケアの質に差がある
施設によって対応や雰囲気が違うため、見学や情報収集がとても大切です。 - 「家族に会えないさみしさ」を感じることも
職員や他の利用者との関わりはあるとはいえ、やはり家族との面会は特別です。
介護主任として現場にいて感じるのは、ご家族が面会に来てくれることで、利用者さんの表情がパッと明るくなる瞬間があるということ。
たとえ短い時間でも、定期的に会いに来ていただけると、本人にとって大きな安心になります。
まとめ:一番大事なのは「家族が無理をしないこと」
「同居か施設か」
どちらを選んでも、一番大切なのは“家族も本人も無理をしないこと”です。
最初は自宅で頑張って、途中で施設に切り替えても構いません。
逆に、施設から一時的に在宅に戻すこともできます。
状況や気持ちは変わっていくもの。柔軟に考えて大丈夫です。
そして、施設を選んだとしても、「任せきり」ではなく、家族とのつながりはずっと続きます。
できる範囲で、面会や連絡を続けるだけで、本人の安心感は大きく変わります。
介護は、一人で抱えるものではありません。
「どうしたら、みんなが少しずつ笑顔でいられるか」――
その視点で考えていくことが、何よりも大切です。
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