介護施設ってどんな種類があるの?簡単に比較してみた

● 施設の選び方・比較

介護施設ってどんな種類があるの?簡単に比較してみた【現役介護主任が解説】


はじめに

「親の介護が必要かも…でも、どんな施設を選べばいいの?」
そんな悩みを抱えるご家族は非常に多いです。
介護施設は種類が多く、それぞれに特徴・条件・費用が異なるため、最初に調べ始めたときに混乱してしまうのは当然のこと。
私は介護主任として20年近く現場に携わってきましたが、「どの施設に入れるべきか」という相談は最も多いテーマのひとつです。
この記事では代表的な介護施設をひとつずつわかりやすく解説し、メリット・デメリットも含めて比較していきます。
最後まで読んでいただければ、「自分の親に合った施設はどこなのか」が少しクリアになるはずです。


目次

  1. 介護施設は大きく分けて2種類
  2. 特別養護老人ホーム(特養)
  3. 介護老人保健施設(老健)
  4. 介護医療院
  5. 有料老人ホーム
  6. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  7. グループホーム
  8. 施設ごとの比較表
  9. 実際に選ぶときの流れと注意点
  10. まとめ

1. 介護施設は大きく分けて2種類

介護施設は大きく分けると「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。

  • 公的施設:特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院など。比較的安価だが、入居条件が厳しく、待機者も多い。
  • 民間施設:有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など。自由度が高く設備も整っているが、費用が高額になりやすい。

「安心感のある公的施設に入れたい」と考えても、現実的にはすぐには入れず、民間施設を検討するケースが多いです。
ここからは、それぞれの代表的な施設について詳しく見ていきましょう。

2. 特別養護老人ホーム(特養)

特養は、介護が重くなり自宅での生活が難しい高齢者の「終の住まい」として位置づけられています。

  • 対象者:原則「要介護3以上」の高齢者。
  • 費用:月額8〜15万円程度(所得により軽減措置あり)。
  • 特徴:生活全般の介護が受けられる。看取りまで対応している施設も多い。
  • 注意点:地域によっては数百人単位の待機者がおり、すぐに入れない場合が多い。

現場では「できれば特養に入りたいけど順番が回ってこない」という声をよく聞きます。
もし特養を希望する場合は、早めに申し込みだけでもしておくのが大切です。

3. 介護老人保健施設(老健)

老健は病院と自宅の「中間施設」として位置づけられ、リハビリに力を入れています。

  • 対象者:要介護1以上で、在宅復帰を目指す高齢者。
  • 費用:月額8〜13万円程度。
  • 特徴:医師やリハビリ専門職が配置され、退院後の生活リハビリを受けられる。
  • 注意点:原則として3〜6か月の「一時的入所」が前提。長期利用には向かない。

「急に退院を言われて、在宅介護の準備が整わない」というケースでよく利用されます。
在宅に戻る前のステップとして考えると安心です。

4. 介護医療院

介護医療院は、医療と介護の両方が必要な方が長期で療養できる施設です。

  • 対象者:要介護1以上、特に慢性期で医療ニーズが高い方。
  • 費用:月額10〜16万円程度。
  • 特徴:医師・看護師が常駐。医療ケアを受けながら生活できる。
  • 注意点:生活面は病院寄り。家庭的な雰囲気を重視する人には不向き。

5. 有料老人ホーム

民間が運営する有料老人ホームは、自由度やサービスの幅が広いのが特徴です。

  • 種類:介護付き・住宅型・健康型の3つに分類。
  • 費用:月額15〜30万円+入居金(0〜数千万円)。
  • 特徴:食事・生活支援・レクリエーションなどが充実。医療連携をしている施設も増えている。
  • 注意点:高額であるため、長期的な資金計画が必要。

「サービスが充実していて快適に過ごしたい」「趣味や交流を楽しみたい」という方には向いています。

6. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サ高住は、高齢者が安心して暮らせるよう設計された賃貸住宅です。

  • 対象者:自立〜要介護の比較的元気な高齢者。
  • 費用:月額10〜20万円程度。
  • 特徴:安否確認・生活相談が基本サービス。必要に応じて外部の介護サービスを契約。
  • 注意点:介護が重度化すると対応しきれず、転居が必要になる場合もある。

7. グループホーム

グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送るスタイルの施設です。

  • 対象者:要支援2以上+認知症の診断。
  • 費用:月額12〜18万円程度。
  • 特徴:家庭的な雰囲気で生活し、専門スタッフによる認知症ケアを受けられる。
  • 注意点:少人数のため、空室が出にくく入居しづらい場合がある。

8. 施設ごとの比較表

施設名 対象 費用(月額) 特徴 医療体制
特養 要介護3以上 8〜15万円 終の住まい。費用安いが入所困難
老健 要介護1以上 8〜13万円 リハビリ中心。短期入所
介護医療院 要介護1以上 10〜16万円 医療+介護の長期療養施設
有料老人ホーム 施設により異なる 15〜30万円+入居金 自由度・設備が充実 △〜○
サ高住 自立〜要介護 10〜20万円 賃貸住宅型。介護は外部サービス
グループホーム 認知症+要支援2以上 12〜18万円 少人数で家庭的なケア

9. 実際に選ぶときの流れと注意点

施設選びは「情報収集 → 見学 → 契約」の流れで進みますが、いくつか注意点があります。

  • 複数施設を比較する:1か所だけで決めず、必ず2〜3か所は見学しましょう。
  • スタッフの対応を見る:入居者への声かけや雰囲気から、職員の質がわかります。
  • 費用だけで選ばない:安いからといって安心とは限らず、必要なサービスが不足する場合も。
  • 家族の意見を尊重:本人だけでなく家族が安心できる施設を選ぶことも大切。

▼ 施設選びに行き詰まった方へ

「どの施設を選んでいいか分からない」「家族だけで抱え込んでしまっている」
そんなときは専門家に相談するのも一つの方法です。

10. まとめ

介護施設は種類が多く、どれも一長一短があります。
費用・医療体制・介護サービス・雰囲気など、家族にとって何を優先するかを整理することが大切です。
迷ったときは専門家に相談したり、実際に見学することで、より納得のいく選択ができます。
この記事が、施設選びに悩むご家族の一助となれば幸いです。

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