新人介護職が知っておきたい!介護施設の種類と役割をわかりやすく整理
こんにちは、介護主任のみしょです。
介護の仕事を始めたばかりの方や、これからこの業界に飛び込もうとしている方の中には、
「特養と老健ってどう違うの?」「サ高住ってどんなところ?」と疑問に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれに目的・入居条件・働き方の特徴が存在します。
この記事では、介護職として20年近く現場に立ってきた私が、新人さんにもわかりやすいように、主要な介護施設の種類とその役割の違いを丁寧に整理していきます。
■ 介護施設は大きく2つに分かれる
介護施設は大きく分けて「公的施設」と「民間施設」があります。
まず覚えておきたいのは、この2つでは運営主体も目的もまったく違うということです。
- 公的施設(介護保険施設):特養・老健・介護医療院など、介護保険の枠組みで運営される施設。
- 民間施設:有料老人ホーム・サ高住・グループホームなど、企業や医療法人などが独自に運営。
この違いを理解しておくことで、「自分はどんな現場で働きたいか」「どんなケアをしたいか」が明確になります。
新人介護職としての最初の一歩は、まず“施設の目的を理解すること”から始まります。
■ 特別養護老人ホーム(特養)
特養は、要介護3以上の方が中心に入居する「長期入所型の生活施設」です。
自宅での生活が難しくなった高齢者が、終の棲家として生活する場所でもあります。
特徴はなんといっても「生活全般の支援」。食事・排泄・入浴など、日常生活すべてに介助が必要な方が多いです。
また、近年では「看取り介護」も増えており、人生の最期を施設で迎える方も少なくありません。
職員としては、一人ひとりと長く関わる覚悟と、多職種連携のスキルが求められます。
医師・看護師・栄養士・ケアマネジャーなどとチームを組んで、その人らしい生活を支えていくのが特養の大きな役割です。
■ 介護老人保健施設(老健)
老健は、「在宅復帰をめざすリハビリ中心の施設」です。
病院での治療を終えた方が、すぐに自宅に戻るのが不安な場合に一時的に入所します。
つまり、“家に帰るまでの中間ステーション”的な役割を担っています。
職員は、リハビリを意識した介助や、生活動作の再獲得支援が求められます。
食事・トイレ・歩行など、一つひとつの動作に「リハビリの意味」があるのが老健の特徴です。
また、退所支援のために家族やケアマネとの面談・調整も多く、コミュニケーション能力が非常に大切です。
■ 介護医療院
介護医療院は、医療的ケアが必要な方が長期的に生活する施設です。
褥瘡(じょくそう)・経管栄養・吸引など、医療依存度が高い方が多く、
医師・看護師・介護士が密に連携しながら24時間体制でケアを行います。
特養との違いは「医療の比重が高い」という点。
医療的処置を伴うケアを経験できるため、スキルアップを目指す介護職にもおすすめです。
■ 有料老人ホーム
有料老人ホームは、民間企業が運営する多様な形態の施設です。
介護付き・住宅型・健康型などタイプがあり、料金やサービス内容も施設ごとに異なります。
特徴としては、接遇やマナーが重視されること。
介護スキルだけでなく、おもてなしの心が求められます。
「ホテルのような介護」を目指す現場も多く、服装や言葉遣いにも気を配る必要があります。
■ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住は「住まい+見守り」を基本とした住宅で、介護サービスは外部の事業所と契約します。
自立度が高い方が多く、介助よりも生活の見守り・声かけ・安否確認が中心です。
日中に看護師が常駐している場合もありますが、基本的には介護職1〜2名でフロアを見守るスタイル。
利用者さんのペースを尊重するため、自立支援の意識が特に大切です。
■ グループホーム
グループホームは、認知症のある方が少人数(5〜9人)で共同生活を送る小規模施設です。
「家庭的な雰囲気で過ごす」がテーマで、食事づくりや掃除などを職員と一緒に行います。
職員には、認知症理解と観察力、そして「一緒に暮らす感覚」が求められます。
指示よりも見守りを重視し、「できることを奪わない支援」が基本です。
入居者の“その人らしさ”を尊重する姿勢が大切になります。
■ 自分に合った施設を選ぶポイント
- 長期的に関わりたいなら → 特養・グループホーム
- 医療的ケアを学びたいなら → 介護医療院
- リハビリに関わりたいなら → 老健
- 接遇やサービス重視なら → 有料老人ホーム・サ高住
介護職といっても、現場によって求められるスキルはまったく異なります。
働く場所を選ぶときは、「自分がどんな介護をしたいか」「どんな環境が合うか」を考えてみましょう。
■ まとめ
介護施設の違いを理解することは、自分のキャリアを考える上でとても重要です。
それぞれの現場に“強み”があり、“学べること”があります。
働く中で、「もっと医療寄りの施設に行ってみたい」「認知症ケアを深めたい」と感じることもあるでしょう。
その時にしっかりと方向転換できるよう、今いる環境を学びの場として活かすことが大切です。
介護は、どの施設でも「人の暮らしを支える」という目的は同じ。
自分に合った施設で、無理なく・長く続けられる働き方を見つけていきましょう。


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